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ギャッベな話

2025.11.29 update

ギャッベな話。

まず、「ギャッベ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

ギャッベとはイランに暮らす遊牧民がひとつひとつ手作りする絨毯の一種です。

 

 

その歴史は古く、およそ3000年前から暮らしに根付いていたといわれています。

イランと言えば、ペルシャ絨毯が有名ですが、そのペルシャの言葉で「ギャッベ」とは、「目が粗くて毛足が長い絨毯」という意味で、イランの遊牧民の中でもカシュガイ族やルリ族などによって織られている絨毯を指します。

 

上記のように、古来のギャッベは目も粗く、ぶ厚く重いものでしたから、「Garbage(ゴミ)」に由来して、イランのペルシャ絨毯の世界では、その名の通りゴミ扱いされてしまうような絨毯だったそうです。

しかし、近年のギャッベは改良を重ねてこの汚名をそそぎ、いまでは皆さんもご存じのように、世界中で注目されるようになりました。

その立役者となったのが、「ZOLLANVARI(ゾランヴァリ)」社のギャッベです。

 

 

ゾランヴァリのギャッベは上質な素材を用いており、そこに丁寧な手織りが施される。

それまでのギャッベとは異なる品質を実現しました。

例えば、厚みは従来の1/5ほどにスリム化。

更には2000年代には日本にギャッベを広めた立役者の一人、今井正人氏がそのゾランヴァリのギャッベの中でも特に芸術性に優れたものを独自にセレクトして、「アートギャッベ」として日本全国へ広め、今のギャッベブームをつくりだしました。

もちろん今でも今井氏の経験と思いを引き継ぎ、専属の選定人が現地に赴き、豊富な経験を以って厳選しています。

 

なのでここで一度整理をしますと。

ギャッベは元々、イランの遊牧民の生活道具であり、そのクオリティはペルシャ絨毯の世界ではゴミ扱いされていた。

しかし、ゾランヴァリ社の功労により、今ではギャッベは世界でも認められる絨毯となりました。

そのゾランヴァリ社のギャッベの中でも「アートギャッベ」は、高品質で芸術性に高いものを厳選した絨毯という訳です。

 

お分かりいただけましたでしょうか。

しかし、近年ではオールドギャッベも人気で、現在のクオリティとは異なるものの、そのざっくりとした織りや、歪んだデザインが好きという方も増えています。

どのギャッベにも、その織り子さんの想いや個性があり、そのタイミングで受ける印象は異なります。

既製品の絨毯もいいですが、遊牧民の風を感じ、受け継がれてきた歴史を知り、私たちのいまの暮らしに取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

 

ギャッベな小話、一つ目。

ギャッベを織るのは基本、女性の方です。

それは母から娘、そして孫娘へ織の技術は継承され、今日にいたります。

一方、男性は糸の草木染を担ったり、出来上がったギャッベの仕上げを行います。

それぞれに役割があり、一枚一枚丁寧に作られています。

 

 

ギャッベな小話、二つ目。

糸の染色で使用される原料は

赤色の糸だと、茜(アカネ)の根やコチニールなど

 

青は、藍(インディゴ)など

 

黄色は、ザクロの皮やターメリックなど

 

緑色はジャシールなど

 

(薄)茶色はクルミの殻や樹皮など

 

 

 

それを男性がこのように染めていきます。

力仕事で大変そう…

 

それぞれ、その時期により色の染まり具合も異なるようでゾランヴァリ社では300色以上の色を作り出しているとも聞きました。

 

因みにアンミカさんの名言の一つ「白って200色あんねん」。

ギャッベの白は羊の毛を染めずにそのまま使用している、いわゆる原毛とよばれるものです。

なので見比べると白だけでも200色以上あるかもしれません。

 

 

突然ですが、「アブラッシュ」という言葉を聞いたことがありますか?

アブラッシュとは糸の色の濃淡や太さの違いでつくり出される風合いを表す言葉です。

ですので、ウールを紡いで草木で染め、手で織るアートギャッベには美しいアブラッシュが現れます。

皆さんが最初にイメージする所謂、ギャッベらしいデザインももちろん素敵ですが、文様が描かれていないアブラッシュだけのアートギャッベも実は人気です。

 

近年、そのデザインは少なくなっているので見つけたら、イランの織り子さんを想像して、「どんな思いで織ったのかな?」、「誰を思って織ったのかな?」なんて考えて、見て触れてください。

ギャッベには欠かせない文様についても書きたいのですが、長くなりますので今日はここまで。

また、次回。

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